アーティストブログリレー

ARTIST BLOG RELAY

芸達者な人たち

2月8日にUrBANGUILDにて音楽×ヴィジュアルアートのイベント「オトエホン-15」を開催しました。


この日は、林加奈(紙芝居と演奏)+HANA★JOSS(ガムラン)/
むーとん(音楽)+足田メロウ(絵)+にしもとひろこ(お話朗読)/
にしもとひろこ(ペインティング)+イエグチナルキ(音)の3組が出演。


まずは林加奈とHANA★JOSS。加奈さんのハイテンションな語り+不条理なストーリー
ときどき演奏とか歌に、HANA★JOSSの演奏が加わり
(HANA★JOSSはダンス、セリフ、人形などでも参加)なんともシュールな世界。
笑い誘い会場の雰囲気はなごやかに。加奈さんの"やりきる力強さ"は
僕には無いな~と感心しながら見入ってました。


で、僕らの。加奈さんが紙芝居ってことで、こちらも紙芝居的なものをやることに。
あらかじめお話を用意しておいて、むーとん(DUB MARRONICS/ドラヒップ/スズメンバ)
がPCその他諸々の機材を駆使して音楽を担当、要所で歌。
むーとんと僕が「お話の朗読はこの人しかいない!」と白羽の矢をたてた、
にしもとひろこ(たゆたう)のゆる声なお話朗読。
僕はシーンに合わせて一枚づつ絵を描いていき、
その様子をビデオカメラで撮影しプロジェクターでステージバックに投影、
ビデオカメラを使うのは何度か経験があるけどストーリーがしっかりあるパターンは
初めてだったので、お話についていくのにいっぱいいっぱいで吟味する間もなく
あっという間に終わってしまったかんじ。でも、むーとんもひろも楽しめたみたいで
「このお話でアニメーションつくろう」ってことになりました。


最後は、にしもとひろこのペインティングにイエグチナルキ(ex花電車/PARA etc)のピアノ。
床に広げた2メートル四方程のクラフト紙に、白・黒・オレンジの三色の絵の具をこぼして
手や身体でのばして(筆は使わず)、始めは「絵」らしきものを描いてたけど徐々に画面は
どろどろに、ひろも全身どろどろに、絵の具の浅瀬でのたうちまわっている
イルカのようにみえてかわいかったです(表現的に合ってるのかわからんけど)。
イエグチくんのピアノは終始麗しく、地べたで絵を描いてるひろの周りをお客さんが
ぐるりと囲んでの図はすてきでした。


で、終わってほっと一息。みなさん芸達者やな~、と。


あとはお客さんも交えて次の話もしつつわいわい飲んで、家に帰って時計をみたら朝の5時前。


みなさんおつかれさまでした。


下記のはこの日の「お話」です。僕の娘が5歳のときにつくった話を基にして、
むーとんが脚色、ひろが仕上げました。


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空みたいな世界でした。
その世界の真ん中には分厚くてまん丸い雲の塊があって、
そこからはいろんなものが生まれます。宙を漂う浮き島や、
そこから流れ落ちる何本もの川、ふわふわと浮かぶ薄い雲たちは、
あっちへ行ったりこっちへ来たり。
いろんなものがたくさんにあふれかえる頃にはその雲の塊の裏側から霧の海が吹き出し、
真っ白に光りながら世界を包み込んだかと思うと、
太陽と月が出会うころにはまた元通りに戻り、また、まん丸い雲の塊がぽっかりと浮かんで、
新しい世界が生まれていくのでした。
それはとても綺麗な光景で、果てしなく遠いどこかまで、目に映る全てのものが、
手を取り合って繋がりながら1つの色に広がっていくみたいでした。
途切れることなく、そこにはすべてがありました。
と、同時に、それは何もないみたいでもありました。


霧の晴れたある朝のこと、そんな雲の塊の上を、あおいおばあさんとみどりのおじいさんがあるいていました。


おばあさんとおじいさんの横を、いろんなものたちが通り過ぎていきます。
逆立ち歩きの双子の小猿や、一本足で飛び跳ねるカンガルーの親子。
くるくると回りながら進むシマウマたちや、宙を行き交う象の群。
なぜだかみんな不思議そうな表情で、ふたりをのぞきこんでいきます。


みんながあまりに不思議そうにしているので、おばあさんとおじいさんもようやくそれに気が付きました。
みんなの視線に、ふたりも不思議な気持ちなっていると、
ちらほらと話し声が聞こえてきました。
「おばあさんとおじいさん、なんだか楽しそうだね」
「なんでだろう?」
「なんでかな?」
「わたかった!ふたりはワルツで歩いているんだよ!」
「ワルツってなあに??」
「ルンタッタ♪ってやつさ」
「わ?、すてき!」
「けど、わたしにはむずかしそうだわ」


なるほど。それでみんな不思議に思っていたのですね。
すると、おばあさんとおじいさん、ニコリと微笑んで「かんたんよ」と、
ゆっくりと丁寧に、軽やかに踊りながらワルツの歩き方を披露しました。
一通り踊り終えたかたと思うと、「みなさん、ありがとう」と、
その場で1つおじぎをし、「また会いましょう」とみんなに手をふりながら、今度はマーチであるきはじめました。


しばらく歩くと大きな広場にでました。
暖かい日差しをまとっていてとても気持ちよさそな場所です。
ふと片隅に目をやると黄色いベンチがありました。
少し歩き疲れたふたりはそこへ座り、一休みすることにしました。


ベンチに腰かけてお茶を飲んでいると、一羽の小鳥が飛んできて、
おばあさんの前にとまってこう尋ねました。
「おばあさんはト音記号のおばあさんですか?」
おばあさんはおどろいて答えました。
「ト音記号とは何かしら?わたしは青いおばあさんですよ」
「そうですか・・・」
小鳥はとても残念そうにどこかへとんでいきました。


すると、もう一羽、また別の小鳥が飛んできて、
今度はおじいさんの前にとまってこう尋ねました。
「おじいさんはヘ音記号のおじいさんですか?」
おじいさんはおどろいて答えました。
「いいえ。僕は緑のおじいさんですよ。ヘ音記号とは国の名前かい?」
「うううん。違うのならよいのです・・・」
小鳥はとても残念そうにとんでいきました。


小鳥たちの期待に答えられなかったのは少し残念でしたが、
不思議なことを聞かれたもんだ、とふたりは顔を見合わせて、
笑いました。お茶をのみ、少し早いお弁当を食べたふたりはまた歩き出しました。


しばらく歩いて、太陽が高くのぼる頃、小さな黒猫に出会いました。
猫はこちらを見ています。ふたりがその場を去ろうとしても、
にゃーにゃーと後をついて来るので、「おやおや」と、
おばあさんが猫を抱き上げると、黒猫はゴロゴロと嬉しそうにしています。
「仕方のないこだねぇ」と、ふたりは猫を連れて帰ることにしました。


森の小道の途中にある泉にさしかかると、
黒猫がキョロキョロと何かを気にしだしました。
あたりを見わたし、おばあさんとおじいさんの顔をじっと見つめたかと思うと、
くるんと飛び上がって「にゃー!」と鳴きました。
「わー」っと驚いたふたりをよそ目に、その鳴き声は440の波をつくって響き渡り、
海みたいな世界が一面にできあがりました。


ひと息の間を置いて、猫は尻尾を振りながら、
何かを知らせるように「ふーっ」と息を吹きかけます。
すると、どこからともなく群青色に輝く大きなクジラが空と海の狭間を埋めるようにやってきたのです。
2つの世界は1つになり、長?くたなびくクジラの髭が五本の線を描きました。


「おばあさん、おじいさんどうぞこちらへ」
どこからでしょう。ふたりを呼ぶ声が聞こえました。ふたりは誘われるようにふわふわと漂い宙を舞っていきます。


1つになった世界の中、
青いおばあさんはト音記号になりました。
緑のおじいさんはヘ音記号になりました。


正午の鐘がなると同時に、やってきた無数の鳥たちは音符へと、
そこにいる全ての生き物が一斉に飛び立ち音となりました。
それはそれは言葉にはできない、とても綺麗な光景で、
途切れることなく果てしなく、遠いどこかまで広がって行くようでした。

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