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かきくけこ

柿を食べていた。


その少し前、その場の話題は和菓子だった。


で、柿を食べながら「タネが入った柿にあまり出会わなくなったな」と言ったその人は続けて「和菓子の甘さは柿の甘さを超えてはならんそうな」とぽつり。生菓子のあのやわらかく深い色と舌触り、それに柿の潔い色と硬さが奇麗な対のイメージとなって頭に残った。


そもそも柿という果物、あまり好きなものではなかった。それが去年のちょうど今頃ある日突然そのおいしさに気づいてしまった。ばばばーんと雷に打たれるがごとくドラマティックに、というわけではなくて「あ、おいしい。」と、とても地味に静かに。しかしある種の衝撃を持って。


好みなんていとも簡単に変わるものだ。


ひとつ好みが変わると、それにともなって何かが少しずつズレ始める。「ああ、もしかしたらこちらもすごくステキなのでは?」と今まで見向きもしなかったものが急に光を放ち始める。そうやってふと顔をあげるとそこここに微細な隙間が出来てそこから光が漏れていることに気づく。ズレの連鎖はおもしろい。その連鎖こそが今まさに自分の興味の方向。そこを辿っていくとそのときに見るべきものが姿をあらわすのだ!・・・のか?


そこにあるものは変わらなくて、変わるのはこちらの意識のみ、でありますが、その変容の末に得うるものの膨大さたるや。
願わくばそれを受け入れるのに柔軟でありたいものだ、とかぼんやりと。


ああでもそんなことよりも和菓子だ和菓子。甘くて柔らかい生菓子を買いに行くのだ。
それに煎茶を淹れておいしく飲むのだ。器はどれがいいかしら。とそれが昨日からの私の全くの興味。


足田メロウさんのカップがものすごくステキ。
焼き上がりがとても気になります。いいな、いいな。


そういえば。去年の末に見た『柿喰う客』という劇団の芝居がものすごく面白かった。目からウロコぽろり。

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