M : 最近はちょっと意識していますけれど、自然なものかもしれないですね。
もともと風景が好きで、小学校の時の修学旅行の写真とかあるじゃないですか、カメラマンさんがとって廊下に張り出してあるようなやつ。だいたいみんな自分が映っている写真か、好きな子が映っている写真かどちらかを買うと思うんですけど、それも買ったんですけど、そのときに一緒にカメラマンさんが撮影した風景の写真を結構買ってて。この前机の中を整理してたらそういう風景の写真ばっかり出てきました(笑)
M : 出来事だと思いますね。
虫は今でもよく入ってきますよ(笑)。気にして撮るときもありますが、逆に虫が入ってきたほうがリアリティがでる時もあります。昨今の映像は加工して「非現実風景を作り出す」というのが主流なので、僕の作品も作りものじゃないかと、思われる時があるんです。
なので、虫のようなアクティブなものが、ポンッと、入ってきたほうが真実味が出るんじゃないかと最近は思っています。最初の頃はうるさいなと思っていたんですけど(笑)
M : 漠然とした「緑が撮りたい」「滝が撮りたい
とかはあるんですけど、行ってみないとわからないですね。作品で使用するために滝の風景を撮影に行った時は偶然霧がかかっていたんですけど、それもそういう状況がたまたま起こっていたから撮れたという感じなんです。作りものではない良さにインスピレーションが湧くというか・・・それであえて実写の風景を撮影しています。
& : 作品に出てくる滝はどこにあるんですか?
fallwater 2007
M : 岐阜の高山です。あの滝に関しては面白いエピソードがあるんです。
あの滝は「滝100選」という本に掲載されていた写真を見て、「これ映像に撮ったら面白いんじゃないか。」と思い、撮影をしに行ったんですが、現地に着くと、はじめて来たのにはじめてじゃないような気がしたんです。だけど、どこか別の場所と勘違いしているのかなと思って、その時はあまり気に止めなかったんです。
その後撮影した映像を、京都市立芸術大学の制作展で展示したんですけど、その時に親が見に来てくれて、「あれは岐阜の滝で
という話をしたら「お前それ昔行ったことある滝やで」と父親に言われて(笑)。
小学校の時に家族で高山を旅行してたのを、そのときにやっと思い出したんです。
父親に「お前その時めっちゃカメラで滝撮ってたで」と言われました(笑)。
& : 子供の時からやっていることが変わってないですね(笑)
& : 京都のアートについてどういう印象を持っていますか。
M : 京都は「アーティストが住んでいる街」という印象がありますね。大学が多いというのもあるんですが、京都に大きなアートの流れがあるという感じはしないです。ギャラリーは昔からやっていることを続けている所が多いんじゃないでしょうか。落ち着いた感じがします。
M : 木藤純子さんの空間としての見せ方は面白いと思います。ものとして見せるのでなくて、空間に何かを配置することで、空気のようなものを作り出す感じが好きです。後は、京都市立芸術大学の時の後輩で山下耕平というアーティストは応援しています。後輩なんで好きというとなんか悔しいんですけど(笑)。横浜での展覧会に出品した時に知り合った、水木塁(みずき るい)君も面白いアーティストですね。
M : 京都に来た当初は京都の風景ばかり撮影していました。2006年に「モノトーン」というシリーズを制作していたんですけど、その作品では嵐山や、鴨川の旅館などの風景を使用しています。
& : 京都で撮影した中で記憶に残っている場所はありますか。
M : 桂川周辺ですね。あのあたりは手つかずというか、放置状態というか。整備され過ぎている鴨川と違って、桂川というのは川の本来あるべき姿なのかなと思っています。
& : 草が生い茂っていますよね。
M : あそこは堤防沿いがサイクリングロードになっていて自転車で走りやすいんです。だから制作に行き詰まったら桂川を走れみたいな(笑)
& : 水野さんはどのような人に自分の作品を見てほしいと考えていますか。
shine 2009
M : どらちかというとアートを見たことのない人に見てもらったり、意見をもらいたいです。アートを知っている人の言葉は、体系化された知識がある分、自然な言葉じゃないような気がします。それに比べてアートを知らない人たちがパッと見て発した言葉って、かなり自然な言葉だと思います。今年の8月に名古屋で展示をしたのですが、企画の方の「子供でも映像だったらわかるんじゃないか」という意図もあって僕にオファーが来たんです。そのとき配布された、展覧会についてのアンケート用紙に記入してくれた大半がこどもだったんですが、コメントに「すごくおもしろい」とか「残しといてほしい」ということを書いてあったんです。そういう言葉をみると「やっている意味があるんじゃないかな。」と思います。
自分が作りたいものを作っていくってかなり過酷なことで、僕なんかすごく精神的に弱くて絶えず怯えているところがあって(笑)。だから率直な意見を聞くと、「もっとがんばっていこうと思います。」
& : 例えば社会の中でどういうアクションをすれば、アートがより社会に広がっていくと思いますか。
M : 難しい話ですね。例えば今回の"&ART"の企画のように、企業に力をいれてもらうことで、作家も発表しやすくなると思います。何かを作るにはアーティスト一人ではどうしようもないときもあるので。
& : 「社会とアーティストの繋がり」についてどのように考えていますか。
M : 僕はアーティストと名乗るには、理由が必要だと思っていて、昔ははただ単に作品を作ればアーティストなのかなと思っていたんでが、展覧会をしていく中でそれは違うなと思ってきたんです。では理由とはなんなのかというと、作品を発表するときには、作品に対する責任感が必要なんじゃないかと思っていて、それを持てる人が本当のアーティストだと考えています。「責任」が社会とアーティストとの繋がりだと思っています。
M : 僕の場合は、続けていくことです。これから何十年と積み重ねることが責任ではないでしょうか。やり始めたからには中途半端で終わるのはよくない。
後は展覧会を見に来てくれた人がもう一度見たいと思うような展示にはいつもしたいと考えています。
& : 今後どのように自分の作品を展開していきたいですか。
M : ここ最近写真を撮っているんです。最近はその作業がドローイングに似ているような気がして
ビデオを撮るときはガチッと構えて撮る感じなんですけど、写真の時はあまり考えずに気になったものを撮っています。現在パソコンの中に何千枚という画像が貯まりつつあって、それを少しずつ作品にできたらいいと思っています。いわゆる写真と映像を分けるのではなくて、写真も含めた「映像」というメディアを、機器を使って作っていきたいと考えています。