アーティスト紹介

BONG BROS

  • 作品集(映像)
  • 作品集(画像)
  • インタビュー
  • スケジュール
  • プロフィール

INTERVIEW WITH BONG BROS 2013.09.25

活動について - 音楽だけじゃなく、考え方や生き方自体がHIP HOPになってる

&ART(以下、&) : BONG BROSという集団がどのように立ち上がったか、その経緯を教えていただけますか。
Photo by GEN

Photo by GEN

MOMIO : 同世代で互いにヤバいと思えるやつらが自然に集まった感じっすね。
P.E : 2009年くらいに同世代がたくさん辞めた時期があったんやけど、その時辞めずに続けたやつらの中で「一緒にやっていける」って思えたメンバーが集まった。
MOMIO : BONG BROSとして活動する前から、みんな同じイベントに出たり、一緒にイベントをやったりしてたんすよ。
DAN : 16、7歳くらいの時から顔と名前を知ってるやつもいた。
MOTOACCE : HIP HOPが盛んになった2000年くらいから、ほとんど全員活動してます。地元ごとにストリートカルチャーは違ったけど、みんなHIP HOPにはまり出したタイミングが一緒だからルーツが似てる。町のHIP HOPを盛り上げようというやつらが集まった感じ。例えばBONG BROSのDJは全国でも負けなしの最強なんすけど、そのくらいHIP HOPに凝ってて、HIP HOPが好きで、HIP HOPが体に染み込んでいる。それをずっと遊びとして続けていたら、知らない間にヤバいやつ同士がつながってた。MUKECCHOは一番最近加入して、メンバーでは一番若いけどマインドは一緒。叔父さんがレコ屋の店員というサラブレッドで、自然とストリートカルチャーと密接なつながりを持ってる。最高なやつらが揃ってますよ。俺らは音楽だけじゃなく、考え方や生き方自体がHIP HOPになってる。
P.E : そこに共鳴し合ったから「イベントやろう」とか「アルバム作ろう」となった感じやな。自然に集まったから「この時に結成した」ということはない。
MOTOACCE : 時代の流行を追わない京都、滋賀のアンダーグラウンドでやっている唯一の集合体。
& : BONG BROSのプロフィールに「ラーメン職人まで巻き込んだ」と書いているのを見たのですが、メンバーにラーメン職人もいるのでしょうか。
MOMIO : もともとDJだけど、今はラーメン屋をやっていてあまり活動してないメンバーがいるんですよ。DJとしては最近イベントにも参加してないし、2ndにも参加してない。
& : そういった場合でもメンバーとして残るのでしょうか。
MOMIO : スケーターやグラフィティライターもいるし、ラップ、DJ、トラックメイクをやっていないから外れてもらうというわけではないです。

& : ミュージシャンとしての活動以外に、レーベルBONG BROS RECORDSも運営していますし、イベントの主催もしています。最初から音楽だけでなく、場や環境も同時に作っていくようなスタイルだったのでしょうか。
P.E : イベントは高校生の時からみんな17時から22時の時間帯とかでやってた。その時代にみんなすでに知り合ってる。CDをリリースすることになったのは周りに協力したり、助言をくれる人がいなかったから、手探りの状態でやり始めた。
MOTOACCE : レーベルに関しては、流通会社を紹介してもらったりはしましたけど、それ以外はノウハウも何もなく独学でやってるんすよ。まだ十分に宣伝やプロモーションもできてないような段階なんで、ここからどうやって壁を壊していくかを考えてる。
P.E : レーベルとしてはまだ3年目やし、これからって感じかな。
& : 1stの売り上げで一軒家を改築費しスタジオを作ったそうですね。
BONG BROS 1stアルバム「VIRGINAL DISCHARGE」

BONG BROS 1stアルバム
「VIRGINAL DISCHARGE」

MOTOACCE : もし1stが売れてなくてもスタジオは多分作ってた。俺らは今だけ集まっているハイプなクルーじゃなくて昔からのツレだから、生きていけるのであれば5、60歳まで一緒に音楽を作っていきたい。スタジオがあればずっと音楽が作り続けられるから。
P.E : まずスタジオがほしかったから、MOTOACCEが自宅として借りてた物件を改築して、DIYでめちゃくちゃ頑張って作った。
MOTOACCE : 業者に頼まず、NPO法人がやってる町屋再生プロジェクトに乗っかったりしながら。大工やリフォーム工事もできる1stでエンジニアをやってくれたA SEH ONE TONES(※1)の宮ちゃんと一緒に作ったんですよ。
P.E : 床が沈んでたから床下に枠を付けて水平の土台を作り、そのうえにスタイロを敷いたり。壁も4、5重にした。
MOTOACCE : 外観はただの町屋なんすけど、色々なアーティストが落書きしていって中はアトリエみたいになってるんすよ。
& : 目先の利益だけを考えず、活動を続けていくためにしっかり自己投資しているあたり、ヴィジョンがしっかりしていますね。

リリック - 今は「どういう音楽が10年後残ってるか」ということを考えてる

& : ラッパーの皆さんはそれぞれどのようにリリックを作っていますか。
MOMIO : 俺は1stも2ndもすごく怒ってるときに書いた。考え込んでしまう部分があるから、そこを活かしてるというか…。何に対する怒りかはバラバラだけど、仕事で嫌なことがあって腹が立ち、車を運転しながら携帯で録音することが多い。家でゆっくりしてるときに書くことはないかな。
P.E : 俺は割と集中して、書くモードにならないと書けない。
小鉄 : 書き溜めたりはしないですね。どういうコンセプトの事を書こうかは常に毎日考えてます。時間が出来たその日に一日で、積もり積もった全部の気持ちを詰め込んで書き、作品にします。
MOTOACCE : 俺は普段口数が少ないけど、その分言葉で表現することでバランスをとってる。MOMIOみたいに怒りとか、そういうちょっとはみ出た部分をうまくリリックに落とし込んで、言葉に感情をのせてステージで歌うと、俺も自分で聴いてて上がるしそれでやっと自分自身保てる。リリックはMCの顔やから、MCは言葉で生きてるんすよね。だからふざけたことを歌うんじゃなくて、普段会話でせぇへんようなまじめな話や真剣に思っていることを書いている。
& : BONG BROSのリリックに共通していることの1つとして、自分たちを大きく見せないことや、「大金を稼ぐぜ」みたいなリリックがないことが挙げられます。現実を直視し、地に足をつけて言葉を選んでいるからこそ、強く共感ができるように思うのですが、そのあたりは意識しているところでしょうか。
小鉄 : 常に等身大を意識してます。自分の目に映るものや経験談しか言葉にしません。それを分かりやすく書こうともしてません。リスナーにはそれぞれ色んな捉え方をして欲しいです。いい意味でも悪い意味でも。
MOMIO : 俺は意識してないかな。見せ方って人それぞれやし、俺らなりの言葉を吐いているというだけしか思わない。でも「一HIP HOPファンだった時の自分だったらどういうふうに聞いてたか」ということは意識してる。誰かが書いたリリックを聴いて想像を膨らませたり、自分なりに理解したり、自分の状況や考えに当てはめて聴くことができたから日本語ラップが好きになったし、その経験があるから自分もそういうラップを書いてると思うんすよ。ただ単に「俺かっこいいだろ、俺はこれで金を稼いでる」というようなものじゃなく、中身がある日本語ラップを聴いてきたことの影響はある。
P.E : 自分たちを強く見せるような内容のラップをボースティングと呼ぶんやけど、それをゲットーの黒人が使うのは自然でも、俺らの周りで生活している中でやっても意味ないと思う。
MOMIO : 自分たちがそういう環境にいないから。最初は真似しているからそういうラップもしてたけど(笑)。
P.E : そういう部分は突き詰めていけば削ぎ落とされていく。
MOMIO : 自分のスタイルが出来上がった時に変わったんだと思う。

& : 「空っぽの自己顕示欲が恥ずかしい」という感覚は、HIP HOP関係なく日常的にあると思います。例えばBONG BROSのメンバーが自己顕示欲についてラップしている箇所を具体的に挙げると、“Return Of The "Fighting" 21 Shooters”のフックにある「自己顕示欲が正に鋭く」というリリックや、“FILTER”の「対向車に向けラップすると、それ見て笑う横にいるカップル」というリリックなどがあります。自己顕示欲について達観して言葉に落とし込んでいる印象すらありますが、こういった部分がリリックに共感できる理由ではないでしょうか。
MOMIO : 実際に仕事帰り渋滞につかまった時、車の中でラップしてたら笑われたことがあったんすよ。俺はそういうつもりないんだけど、笑ってるってことは端から見たら「金稼ぐぜ」みたいに見られたのかもしれない。「そうじゃない」ってことを表したいから、あえてフィルターにあの歌詞を入れたというのはあります。笑いたきゃ笑えって気持ちもあるんですけどね。
1stを出した時は「自分たちがやりたいことをやるだけ」と思ってたけど、今は「どういう音楽が10年後残ってるか」ということを考えてる。10年後まだ聴きたいと思われたり、10年後初めてCDを手に取ったやつが「これやばい」って感じるような音楽を作りたいっすね。そういう意味では、お金のためじゃないけど、お金に繋げていこうという意識はある。
遊びでも、趣味でやってるわけでもないし、続けていくにはお金も必要やから。俺は普通に会社に属して仕事をしながら音楽をやってるけど「いつまでやってるんだ」と言われたこともあるわけっすよ。「そんなん遊びやろ、仕事とどっちが大事やねん」と。でも遊びじゃないし、どっちも大事やし。そこがわかってもらえないのは悔しい。
興味をもってる人にしか理解してもらえないかもしれないけど、興味をもってない人にも理解させたい。そのためには俺らが本物になっていくしかない。今でも本物なんすけどね(笑)。
BONG BROS

トラックメイク - どこにあるかわからないけど譜面じゃ表せないような汚い音を探してる

& : トラックはどういう機材で作っているんですか。
M.A : もともとHIP HOPでは「サンプラーを使ってビートを作る」というスタイルが主流だった。だけど、今の時代デスクトップで完結させてしまうことが普通だと思う。でも俺らずっとHIP HOP聴いてきて、みんなHIP-HOPマナーに侵されてる。それはある意味中毒症みたいなもんで、どんだけのめり込めるかということが重要なんすよ。俺はHIP HOPな音が好きなんで、時代が変わっても当時Marley Marl(※2)がやってたように昔の機材を使ってる。そのうえでスキルを進化させ、HIP HOPを次の次元にもっていく。DJを勃起させて、クラブで仲間たちを黙らす。そしてフロアで全員ノリノリにして、ブロックパーティーでぶち上げる。それを俺らのスタイルで、俺らの音で、HIP HOPっていうマナーでやりたい。
P.E : そういうことにチャレンジして形にしてきてると思う。
M.A : HIP HOPは革新的やしそういう音をつくりたい。俺らのカルチャーってヴァイナルに通じてる。ヴァイナルからサンプリングした音を、アナログの回路でヴァイナルにして、それをDJがヴァイナルで流す。それでやっとHIP HOPの音になるんすよ。とりあえず最終的なアウトプットはヴァイナル。そうじゃないと俺らは納得いかない。そのくらい音のグルメっすね。
P.E : 食いもんもそうかもしれんけど、音はわかっていけばわかっていくほど、聴けば聴くほど、体感すれば体感するほどはまっていくし、BONG BROSのみんなもM.Aが作るビートでそういうことを理解してジャンキーになって、やばいHIP HOP集団と化してる。
M.A : とにかくDJが最高な音を誰よりも知ってるんで。
P.E : だから俺らもすごくいい環境でやれる。
M.A : そこらの音楽を聴いているやつの非じゃない。正に病気。そのくらいビートジャンキー。日々財産削ってレコードを買い、それが体内に血液として流れる感じなんすけど、そこにヴィンテージな部分があって、それが加齢臭みたいなにおいを放ってる。そういうものにしか反応しない。今でも10秒しか記憶できないようなサンプラーを使ってトラックを作っている黒人がいる。不便だけどその機材でしか出せない音。そういう黒さにかっこよさを覚えてる。
P.E : 広い意味でいうとHIP-HOPだったらなんでもあり、でも突き詰めてくと色んなこだわりが出てくる。
BONG BROS

& : 特に“Back 2 the future”や、“S.K.S II”などではっきりわかりますが、シンコペーションがセンス良く濁っていることがアンダーグラウンドな雰囲気と、独特なフロウのリズム感を作り出す大きな要因になっていると感じます。“疾風”なんて完全にジャズのシンコペーションじゃないですか。シンプルなノリの良さを求めるというより、「センス良くリズムを濁す」ということがトラックの個性として強くある気がします。それは1stよりも2ndで強くなっているように感じますね。
BONG BROS 2ndアルバム「The Pains Of Childverse」

BONG BROS 2ndアルバム
「The Pains Of Childverse」

M.A : 1stのときは金がなかったから、どこにでも売っている2、300円のレコードで作るしかなかった。でも2ndはちゃんとレコ屋に通ってジャズとかも買えたんで(笑)。濁し方っていうのが本当に難しくて、それを出すためにHIP-HOPやってる。今は他のものに興味がないし、そこだけ狙ってる。釣れるポイントを探してる釣り人みたいな感じですね。どこにあるかわからないけど、譜面じゃ表せないような汚い音を探してる。
& : 1stの“UP TOWN SWINGG”や“縦貫道 ~蹴上REMIX~”では、スイングやラグタイムっぽいネタが伝われていますし、その他にもジャズやブルージーなネタが多いですが、現代の京都のトラックメイカーが古いブラック・ミュージックを引用するセンスってかっこいいと思うんですよ。菊池成孔が『200CD 菊地成孔セレクション―ロックとフォークのない20世紀 (学研200音楽書シリーズ)』(菊地成孔編、学習研究社、2005年)という本の中で、ブラック・ミュージックをビター・ブラック・ミュージックとスウィート・ブラック・ミュージックに分類しているんですけど、ビター、いわゆる苦くて濃いブラック・ミュージックへのこだわりみたいなものってありますか。
P.E : その分け方ができるかはわからんけど、確かにスウィートなブラック・ミュージックもあって、それはそれで好きだけど、俺らの表現としてあまりそのパターンはないかな。
M.A : 俺らの音楽が広く受け入れられてない理由って癖が強過ぎたり、メジャーなHIP HOPとあまりに違い過ぎてコメントしようがないとか…。5秒で吐きそうになったという人もいた(笑)。
& : それはディープなブラック・ミュージックを聴いたことがない人なんじゃないですか?
P.E : かもしれんな。きれいな歌謡曲しか聴いてないような人は、ロウがバリバリきいたぶっといビートやカオティックな曲を聴くと…。
MOMIO : 10代の時、初めてCollageっていう箱にいったときやってたのが他ジャンルのイベントで、そのとき「なんじゃこれは、頭おかしいんちゃうかな」と思った(笑)。今は好きだけど、そのときは聴いたことないからそう思ったし、BONG BROSの音楽を聴いてそう思う人がいてもおかしくはないな。
P.E : 衝撃はあるやろうな。
MOMIO : でもそれが音楽の良さやとも思うし。

DJ - ただ単純にレコードが好きってのに尽きると思います

& : DJはゼロから新しい何かを生み出すのではなく、"組み合わせ"や"タイミング"で、クリエイトしていくという意味で、特殊なジャンルと言えます。DJという表現手段に対してどのような魅力を感じていますか。
DAN : 組み合わせやタイミングという観点では、食材と同じように旬というものを意識します。リリースして間も無いアーティストの曲や、そのアーティストが過去にリリースした作品、その曲のプロデューサーが関わった他の作品など、関連するネタなんかには敏感になります。DJの最大の魅力は、総じて限られた時間と場所の空間支配です。
MUKECCHO : 自分の好きな曲を、客層や場所、時間帯を考えて選曲して、お客さんが踊ってくれるのはすごく楽しいし、同じ曲をかけても、かけ方次第で全然聴こえ方が変わるから、「どうやってカッコよくかけるか」ってのを考えるのも楽しいです。あと曲を伝えていくのもDJの仕事だと思うので、「あの曲なんですか?」とか聞かれるのも嬉しいです。ただ単純にレコードが好きってのに尽きると思います。
& :普段DJする際に曲だけを流すのとは、意識する面も変わって来ると思いますが、BONG BROSのライブでLIVE DJとして回すときは、特にどのようなことを意識していますか?
ライブ風景 METRO photo by CAMO

ライブ風景 METRO photo by CAMO

DAN : LIVE DJに関しては息です。MCと息を合わせなければ空中分解に繋がります。BONG BROSでライヴをする場合、ステージ上でマイクを持っているメンバーの手を見て音をカットしたりします。ヴァース(※3)を歌っている人に対して、他のメンバーがマイクを口に近づけて発音(はっとん)するって時とかにパッと音を切る事によって、観衆にも聞こえやすくなると思っています。嬉しい事にフロアで一緒に歌ってくれるお客さんもいるのですが、お客さんを見ながら「ココだっ!」ってタイミングでカットする時もあります。常にケースバイケースなので、息を合わせるという事に気をつけます。存在は薄いですが、生かすも殺すもといった生殺与奪権がある、最高責任者と思っています(笑)。
MUKECCHO : LIVE DJする際に気を付けるのは、出音と間ですね。LIVE DJにしても普段のDJについても同じなんですが、これが一番重要で一番難しいと思います。出音一つでカッコよく聴こえるし、そのバランスを常にとっていくことを一番意識してます。間についても「どのタイミングで次に曲に入るか」などを考えながら、カッコいい間を意識してます。

& : イベントでDJをする際に、「場の空気」をどのように選曲に反映させますか。
MUKECCHO : そのイベントのゲストと他のメンツ、場所、客層を想定してレコードを選びます。HIP HOP好きな人が多そうやったら、ガンガンHIP HOPかけますし、「HIP HOPも好きやけど他も好き」みたいな客層の時は、BREAKBEATSを挟んだり、わかりやすい曲を挟んだりとかって感じです。時間帯も重要で、夜中ならハードコアに選曲するし、朝方やったらちょっとメローな感じといったところです。
DAN : 場も大事ですが、自分が一番楽しめる様に心掛けます。DJが終わってみて今日はプレイして楽しかった!!と思えたら大抵は上手に出来た証拠で、今ひとつだったという時は駄目な時です。場の空気というものは不思議とこれに比例すると思います。
& : 普段どこでレコードを購入しますか。またどのようなジャンルのレコードをチェックしますか。
MUKECCHO : レコードがあればどこでもです!レコード屋はもちろん、リサイクルショップに、レコードフェス、先輩の家!ジャンルは基本HIP HOP、BREAKBEATS、SOUL、FUNK、JAZZですが、聴いて好きな曲やったら買います。
DAN : ジャンルと申すと難しいですね。BPMでいうと60・100くらいで格好良ければ何でも買います。中古は何処にでもありますが、新譜に関してはJETSETの一択です。大手レコード屋さんがこの数年で軒並み店じまいをされましたので…僕は潰れて欲しく無いレコ屋で只管買います!
BONG BROS

京都について - 京都は日本全国47都道府県の中で、一番濃い県

& : 2ndで曲名にもなっていますが、やっぱりWHOOPEE'Sに対する思い入れはありましたか?
P.E : 登竜門だったし、それこそ高校生の時から行きまくってた場所だから。その頃からディープなイベントを常にやり続けてたし、音も攻撃的でよかった。
& : 現在京都で普段出ているライブハウスはBLACK BOXXXやMETROですか?
ライブ風景 METRO photo by CAMO

ライブ風景 METRO photo by CAMO

P.E : 自分たちでイベントするときはその2つが中心やな。でも呼ばれて出た箱も合わせたら、京都内は全制覇してるくらい色々行ってる。
MOTOACCE : 滋賀だったらK.S BARとかCLUB HEAVENとかCLUB MOVEで、MOMIOとMUKECCHOがW.B.T.C presents BEERというイベントをやってる。
& : 僕がはじめてBONG BROSを聴いたのが、YOUTUBEで見た“B.B ANTHEM”のMVで、八坂神社とか京都の街並みでラップしてるのが、とても新鮮でした。京都でHIP HOPをやることの違和感は大きな武器だと思います。
P.E : “B.B ANTHEM”のMVは、当時のWHOOPEE'Sから始まって川端通、先斗町を超えて木屋町のチルスポットの屋上がゴールというイメージがあって作った。自分たちの普段いるエリアを映そうという意図で制作してる。
MOMIO : 京都でやっている違和感というのは俺らにはない。
P.E : 俺らがスタートした頃からMAGMA MC'sとか、京都でがっつりやっている人がいたから。
MOMIO : 俺らが京都で吸収してきたものを、下の世代がまた吸収してくれたらいいと思う。
DAN : むしろ京都は日本全国47都道府県の中で、一番濃い県やと思うんですよ。どうしても日本的な文化のイメージが強いから、そのギャップの違和感があるかもしれないけど、さっきP.Eも言ってたように、上の世代からずっとHIP HOPしてる人がたくさんいたんで。その人たちの背中を見るというか、影響された部分はあります。とにかく勢いが凄かった。
BONG BROS

& : 上の世代や、下の世代とのつながりってあるんですか?
P.E : もちろん。
& :HIP HOPをやっている人は多いですか?
MOMIO : 多いっすよ。
P.E : 年齢とともに、下の世代が必然的に多くなってるけど、年代の層を2歳単位くらいで分けると、たぶん俺らの世代は特にプレイヤーが多い。2000年くらいにあったHIP HOPムーブメントにのっかってる世代で、当時京都の町でも爆発的にHIP HOPが流行ったからそれに影響されたやつが多かった。でも最初から上とつながっていたわけじゃなくて、活動していく中でつながっていったし、下も出てきたという感じ。俺らは京都のシーンではちょうど真ん中にいるから色んな人を知ってる。
& : 僕はBONG BROS以外では、MAGUMA Mc'sやANARCHYなどR-RATED RECORDSのアーティストは知っているんですけど、その他はあまり詳しくないんですよ。京都に住んでいるHIP HOP好きな人でも京都のシーンに詳しくない人は多いと思いますし、だからこそ色々な人に知ってもらいたいですね。
ライブ風景 2012年10月27日 BLACKBOXxx

ライブ風景 2012年10月27日 BLACKBOXxx
photo by CAMO

B-COSMO : HIP HOP好きというより、音楽好きのほうが俺らのことを知ってくれてると思う。B-Boyっぽいやつらがイベントに来ている気がしない。
MOTOACCE : でも現場に来ないと俺らのカオス感はわからへん。俺らの音楽はメジャーなHIP HOPだけ聴いてるようでは理解できない部分が多いし、普段HIP HOPを聴いているかどうかは関係ない。ストリートカルチャー全般にはまっているやつらに向けてやってる。
P.E : そうや、関係ないよ。
MOTOACCE : 何聴いてるかわからんやつらをカオティックにぶちあげる。そういう要素があるよな、俺らのHIP HOPは。
MOMIO :モッシュが始まるようなノリもあるしな。リリースパーティーでは必ずモッシュが始まる。
P.E :恒例にしたいね(笑)。HIP HOPのライブでモッシュはそうそうないよな。盛り上がり方が普通じゃない。
& : 僕がBONG BROSの名前を知ったのはTHE BLUE HERBのライブのMCで名前が出たことがきっかけです。京都以外のシーンとのつながりについて教えてください。
MOMIO : 関西圏はほとんどつながってる。この間行ってきた茨城もそうやし、他には岡山、奈良、三重、福岡、山口、北海道。呼んでもらったり、呼んだりしてる。
MOTOACCE : 俺らがつながれるのは京都の町レベルで動いてるからだと思う。そうすると別の町で、町レベルで動いていてる人たちとつながるのが早いんすよ。ガンガンやって町がつながっていくのはおもしろい。音楽性は町によって違うけど、やろうとしていることは近いし、セッションとかコラボレーションとか一緒にやるのは楽しいですよ。もちろんつながれてへんところも多いけれど。
P.E : まだまだいっぱいあるよ。
B-COSMO : つながる人とは自然につながるよ。つながろうと思ってつながってるわけじゃない。

社会について - 全員が共通の覚悟をもってる

& : ミュージシャンの山本精一さんがCDJournalのインタビューで、バンドについて「バンドはやっぱり、最大公約数的な何かが無い成り立たないですよね。それは妥協点じゃないです。共通の美学っていうか。そこが共有されていれば全然苦痛は無いし、逆に共有が無ければ入らないし、やらない。(※4)」ということをおっしゃっています。これはバンドだけでなく目的を持った集団のあり方を示す一つの例だと思うのですが、BONG BROSの共通の美学、もしくはBONG BROSという集団をつないでいるものについてお話を伺えますか。
ライブ風景 2012年10月27日 BLACKBOXxx

ライブ風景 2012年10月27日 BLACKBOXxx
photo by CAMO

P.E : 自分たちがHIP HOPにはまった時みたいな町単位、世界単位のムーブメントを求めてるってことが最大公約数って感じはすんねんけどな。美学っていうのはよく分からんけど…そういうことを思ってへんと一緒に居てへん。
MOMIO : 俺にとってBONG BROSは家族みたいなもんですね。
B-COSMO : BONG BROSのメンバーは信用のおける友達。信頼はできても信用できる人ってなかなかいない。信用してたら「自分ができないことでも相手がどうにかしてくれる」ってことがあり得る。本当の友達はBONG BROS以外いないかもしれない。言い換えれば家族やな。
MOTOACCE : 俺はBONG BROSも家族やし、HIP HOPも家族だと思う。だからBONG BROSだけを家族と言い切るのは難しいところで…。
MOMIO :HIP HOPが家族だったら、BONG BROS以外も家族のはずやもんな(笑)。
MOTOACCE : でもクルーの中で美学があるから一緒にやってるってことは間違いない。もちろん家族だからやってるっていうのも間違いない。家族を増やしたいと思ってるんかな。
MOMIO : 単純に昔から知ってるからってだけじゃないし、やっぱり根本につながりがあると思う。一緒にやってきたっていう実績がそう思わせてるんかもしれんけど、それを言葉にするのは難しいな。
DAN : 結局音楽やと思うんですよ。
MOTOACCE : 音楽だけではないよ。
DAN : B-COSMOやM.AやP.Eが作った曲に新しい発見や感動があったり、僕やMUKECCHO、GAJIROHが買ってきたレコードをラッパーたちが聴いて「これなんや!」と言ったり、そういう邂逅があった時の楽しさは他の何にも変えられないし、それが楽しくて音楽をやっているというのはあります。
B-COSMO : 音楽的なことで言うとセンスがみんな似ているとか、ビートとかラップとか、他のジャンルの音楽を聴いても首振るポイントが一緒なんですよ。
MOTOACCE : そう考えると、確かに音楽ありきやな。
B-COSMO :じゃないと一緒にできひんし。それぞれ趣味は違うかもしれけど共感できる。
MOTOACCE : 全員がリーダーという感覚でいるのが俺らの稀なところという気はする。MetallicaとかA Tribe Called Questのドキュメンタリーを見ててもメンバー同士のケンカはあるし、俺らもケンカすることは茶飯事的にあるんやけど、そんなに後を引いたり深刻になることがないのは、それぞれがリーダー的な感覚をもってるからだと思う。HIP HOPの個人事業主じゃないですけど、それぞれがそれぞれの分野でHIP HOPやったうえで、全員で作り上げてる感じはどこのクルーにもない。俺らのやり方でコミュニティを作っている。
B-COSMO : 全員が共通の覚悟をもってるというか。
& : 年を重ねてもやり続けたいという思いや、本当にヤバい音楽を作りたいというこだわりを聞いていると、覚悟はすごく伝わってきます。
B-COSMO : ECDが雑誌で「やり続けること自体がアティチュードになっている」と言ってたけど、俺はそれ以上のことをしたい。今は俺ら自分の生活を歌うだけで精いっぱいだけど、もっと外に向けて発信できたら、やり続ける以上のことができるんじゃないかな。

& : 以前ECDがUrBANGUILDに来た時観に行ったのですが、ステージで自分の子供を抱いたままラップしてたんですよ。すごくかっこ良かったです。
MOTOACCE : 10年後にはBONG BROS二世が…。
MOMIO : きっとラップしてるな(笑)。
MOTOACCE : もうすでに10人くらいいるからな。
B-COSMO : その中の末っ子にはしたくないな、いじめられそうや(笑)。
& :BONG BROSのリリックには社会を批評するようなリリックが入っている曲もあります。自分たちが生きている時代について感じることや、社会について思っていることなどありますか。
DAN : DJの観点で社会に対して思うことは、レコ屋がバタバタ倒れてたり、YouTubeで音をひっぱってきて曲を作ってるやつもいるような時代だからこそ、もうちょっとみんな自分の好きな音楽をもってほしいということですね。
MOMIO : MUKECCHOは?
MUKECCHO : 社会というところまで考えたことがないです。僕は今DJが楽しいからやってるし、自分の探究心を大事にしてる。それを形にして色んな人に聴いてほしいだけっすね。
P.E : 俺が勝手に思っているだけかもしれんけど、BONG BROSはみんな社会が大っ嫌いなんじゃないかな。
MOTOACCE : P.Eが言うようにマジでファック・ザ・ワールド、間違いだらけの愛すべき町みたいな感じなんですけど。でもヘイトなだけじゃやっていけないでしょ。社会に対するズレや違和感だったりとか、そういうことをHIP HOPで変えていきたいって気持ちがそれぞれにあるからやってる感じです。それぞれ思っていることはいっぱいあると思うんで。
P.E : だから音楽っていうところもあるし。
MOTOACCE : ギャングスタもいるけど、俺らみたいなやつらもいる。それでやっとバランスがとれるっていう。
B-COSMO : 自分に正直に生きたい。
MOTOACCE : HIP HOPはすごい健康的っすよ。
& : 社会という言葉を捉えるとき、色々なスケールから話ができると思うんですよ。ニュースなどでメディアが使う「社会問題」や「社会情勢」などの、時代を漠然と捉えたような意味を指す言葉としても使いますし、恋人や家族やBONG BROSのような集団を作ることも、小さな社会を作ることだと思うんです。
B-COSMO :俺の中では社会っていうと「大衆的」「大きな流れ」というイメージかな。逆に家族は共同体とかコミュニティっていう言葉がしっくりくる。でもその捉え方もわかる。
MOTOACCE : BONG BROSは小さいコミュニティですけど、やってることは濃い。不満もあるけど、常におもしろいこと見つけながら、それぞれうまく生きていく道を探してる。俺らのコミュニティはファックな社会に影響を受けるけど負けずに開拓していってるし、大所帯のクルーで動いてるからこそ社会に伝えられることもあると思う。コミュニティが成り立つ人数がいれば、それだけで社会を成り立たせて、そこから広げていくこともできるじゃないですか。それぞれが違うことをやってることは強みっすね。
BONG BROS

(※1)2010年京都で結成されたレゲエ・バンド。 A SEH ONE STUDIO & A SEH ONE TONES OFFICIAL WEBSITE
(※2)HIP HOPのプロデューサー/DJ。サンプラーを使用したトラック制作を定着させたトラックメイカーのパイオニア。
(※3)フックへ入るまでの序奏部分。
(※4)引用元:CDJournal.com CDJ PUSH 山本精一インタビュー:完結することは有り得ない



このページの一番上へ